2016年12月3日土曜日

ウロボロス資本主義

ようやく破綻していたもんじゅの廃炉を決めた、その舌の先が乾かぬうちから新たな高速増殖炉計画をはじめるという。福島第一原発の賠償費用を新電力も負担する案をおおむね了承するという。カジノ法案がいきなり衆院委審議入りし、翌日には採決をめざすという。無理を通して道理を失い、ブレーキのないまま坂道を転がり落ちていく日本国。

「カジノ」「原発」「軍需」この3つには共通点がある。それぞれ大きな経済効果があるというが、その見た目の経済効果がどこからくるのかを全く無視している。利益以上に生じる損失をまともに試算していないのだ。


原発のトータルコスト。誘致や廃炉、廃棄物の保管、万が一の事故の補償など、原発運用がかかえる莫大な負の経済は、とうてい電力販売だけでまかなえるものではない。

カジノのトータルコスト。カジノはなにも生み出さない。そのぶん人は働かなくなる。長い目で見れば個人の時間と資産を奪ってなりたつ経済である。労働生産性の減少や経済破綻の社会リスクが計算されていない。

軍需のトータルコスト。軍需は戦争がなければお荷物である。戦争とは生産ではなく破壊である。しかも戦争を生み出すためのコストや、破壊された側のコストはまったく考慮されていない。敗戦国に負債を押しつけても、世界全体の経済を考えれば大きなマイナスである。

つまり経済の片側の側面だけを見せているのだ。それを私は「ウロボロス資本主義」と名付けたい。幸い今のところ誰もこの言葉を使っていないようだから、わたしのこのブログが初出である。

ウロボロス、自分のしっぽを食べている蛇である。おいしいおいしいといいながら蛇はだんだん短くなる。破滅指向型の経済政策とも言える。


その原資はいったいどこから来るのだろう。税金である。国全体の生産性が減ればその税金は誰が払うのだろう。経済破綻した人や働けない人はどうするのだろう。

そんなとき戦前回帰を主張する自民党や自民党支持者の発言は奇妙に一致している。たとえ格差が拡大し貧困層が増大しても「男は軍隊に行き、女は風俗に行けばいい」などという。ギャンブル法案が可決された。次は、飛田新地の守護者である維新の会の設立者あたりが公娼制度の復活をいいだすだろう。兵士も娼婦も国が面倒を見ましょうというわけだ。

で、繰り返すけど、その原資はどこからくるの?

2016年11月28日月曜日

石鎚の山へ曽我部さんを再訪する

北九州から愛媛には毎晩フェリーが通っている


石鎚黒茶の最後の継承者、曽我部夫妻さんをたずねる


2014年の春に石鎚の山道を40分ほど歩いた中腹に住む曽我部夫妻に出会った。


90を越えるふたりは、この山の中で焼き畑をしながら自給している。



山の道に石垣が積まれ、きれいに整備されている。。急に景色が開け曽我部さんの家についた


しかし、家には誰もいなかった。ふたりは山を下りてしまったのだろうか。


以前に訪ねたときにお茶を入れてくれた縁側に座る。生け垣が高くなり石鎚山が見えなくなっていた。


焼き畑には、新しく植えられた杉が育っていた。


裏庭にはゆずが、たわわに実をつけていた。


石鎚山の頂には、うっすらと雪が積もっていた。


消沈して山を下る。かつての石垣で囲まれた田畑に杉が育っている。


摘まれることのないお茶の木が自生している。


ニホンミツバチの巣箱が置かれているが、ハチの姿はない



人が住まなくなった村に、ぽつんとのこる寺


古い墓石だけが、当時の歴史を伝えようとしている


なぜか童子や童女の戒名が多い


文久や文政にこの村でなにかあったのだろうか


おそらく1000年以上続いたこの村の歴史が、今このわずか10年ほどで消えようとしている。


ここだけではない、日本中の多くの山村で、今まさに同じ事が進行している。


車道まで降りてきたが、このあたりもずっと廃屋が続く


曽我部さんの消息をしりたくて立ち寄った「山の駅」に、地域おこしをしている元気な面々がいた。とつぜん新市長もあらわれて話が盛り上がる。



お茶やハチミツや焼畑など、昔の暮らしで生きていた山の知恵の中には、大切な文化資源がたくさん残っている。それを生かしながら次の世代に継承できる方法を考えたい。


まぼろしの石鎚黒茶は地域の女性たちと作業所の人たちが継承していた。しかしまだ曽我部さんの味にはならないという。


古い起源を持つこの発酵茶が、多くの人々に注目され、西条の人々の自慢の一品になるときがきっと来る。

2016年11月23日水曜日

鉱山の廃村


口では廃墟が怖いと言うくせに


8人も集まった


変なもの連れてきても知らないからね


小雨の森の中を歩く


大学から自転車で40分のところにある鉱山の廃村


森の中に家々が埋もれている


それでも人が生活していた匂いがある


鉱山で仕事をしていた人々


教科書もある子どももいたようだ


半ば崩れかけた廃屋の中には


狸が住んでいた


まさに狐狸庵


そんなものを手にして大丈夫なのだろうか


車が森に食われている


散乱する雑誌


謎の白い粉


薬品がはいったビン


「これより立入禁止」ってどこから?


奇病難病


そして「警告」


ガラス戸の中に人間のような姿がみえる


「やばい。やばい」といいながら


だれも本当にやばいものに気づいていない。


ほんとうにやばいのは、このお墓


無事大学にもどったがひとり足りない・・・。