よろしいですか。同じ場所に行き、同じものを見たふたりの得られた情報は、わたくしとあなたとでは、かほどさまざまに違うのです。そうした有限の宇宙時間の中で、その場の交流点を瞬時に嗅ぎ取ってしまうような力こそが、まさしくフィールドワーク力なのです。
「ご通行の皆様きれいのがお好き。私達はここにゴミ 吸殻は捨てません。」
最初は、銀河鉄道というよりは、まるで山猫軒のような看板でした。
すみません、サザンクロスに行きは、ここでよいのでしょうか。
しかし、いくらどんなに探しても、あたりはしいんとして、だれもみあたらないのです。
「まもなくサザンクロス行きの汽車が発車いたします。」
構内に突然、ふしぎな声が響きわたり、ごごごと汽車の音がきこえました。
待ってください。乗ります。
カムパネルラは、もう乗ったろうか。
青白く光る銀河の岸に、銀いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。
白いモダンな建物のなかに、汽車は停まりました。
ここは、銀河の中心なのでしょうか。そうにちがいありません。
蔓草が柱にからみ、今にも覆いつくそうとしています。
ぼくらは、いったいどこまで行くのだろうかねえ。
やがて列車は、家々の屋根の真上を越え
宙空に向かって、駆けのぼっていきました。
そうして、何時間も何時間も、銀河系の風景は後ろに流れていき、ずうっと遠く小さく、絵のようになってしまい、またすすきがざわざわ鳴って、とうとうすっかり見えなくなってしまいました。
ふと気づくと、サザンクロス駅についていました。
「元気な顔を見せて下さい。」
ぼくらははたして元気だろうか。おかあさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。
そうです、この真っ赤な光は、サソリの火なのです。
そこには「ぐじゃ」を焼く人が、おりました。
「よく見つけたね。偶然かい。あんたちこのあたりの人じゃないね」
「ええ、ぼくたち銀河ステーションから来たんです。」
「あの汽車まだ動いていたんだね。子どもの頃にみたきりだよ」
「あのう、ぼくたち、おなかがすいているんです」
「ちょうどいい、ぐじゃがあるよ」
「よく見つけたね。偶然かい。あんたちこのあたりの人じゃないね」
「ええ、ぼくたち銀河ステーションから来たんです。」
「あの汽車まだ動いていたんだね。子どもの頃にみたきりだよ」
「あのう、ぼくたち、おなかがすいているんです」
「ちょうどいい、ぐじゃがあるよ」
そうしてドロドロと黒いソオスをかけるのでした
そのあとはサラサラと青いノリをかけるのでした
ぐじゃを食べ終わると、こぢんまりとならんだ町を歩きました。しかし、ここは、まったくといってよいほど、空間と時間が歪んでいる町に思えました。