寄生虫や細菌やウイルスは、宿主の行動や生活史を巧みに利用して繁殖し拡散する。
COVID-19の戦略は、人間という生物が、対面的なコミュニケーションを求めたり、集まりたがったりする性質を利用している。逆にいえば、このふたつは、このウイルスの弱点にもなる。つまりヒトの対面性と集団性への欲求を、ウイルスフリーで満たすことが、感染抑制に寄与するのである。
ヒトは視線を合わせ、顔と顔が向かい合わせの対面状態で、コミュニケーションをとる希有な動物だ。その大きな理由は、言語を使った音声発話と、もうひとつ大事なのは、相手の表情を読むことである。
また、オスどうしが、闘争以外の場面で対面行動をする動物はさらに珍しいが、飲食をともにすること(とくにアルコールの摂取)で、ヒトの場合はそれを実現している。
そのさい接触はそれほど重要ではないが、マスクで顔を隠すことは、表情を使ったコミュニケーションの阻害要因となる。
さらにもうひとつ、生業活動における協働を実現するために、ヒトは「集まって関わり合う」ことに強く依存している。他の動物に比べると凝集性が強く、集団の中にいると安心し、孤独な状態に不安を感じる傾向がある。
というわけでこのアイデアは、「ウイルスフリーな状態で、相手の顔が見える場を提供し、対面かつ集団でのコミュニケーション(飲むことも含めて)の方法を確保することが、感染防止に有効である」という「ネット飲み会」促進の強力な根拠になるだろう。