2016年4月22日金曜日

本能直撃・覚醒ダート


フィールドにいると日本語が恋しくなり、ふだんスルーしてしまうような文章もついつい一生懸命よんでしまう。


そして、そのあまりの意味のわからなさに、自分の日本語力がうちのめされる。


スレ化が進んでいる昨今の日本にはもう帰れないかも。


とりもなおさず、突然のモンスター襲来には余裕を持って対応しておかなければ・・・。


2016年4月21日木曜日

確信犯 Banksy Does New York

封切りになったばかりの「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」を見に行った。土曜日はまだ地震が揺れていて、高速道路も途中で閉鎖してたので、日曜日に行った。

こんなときなので映画館はすいているのかなと思ったら、むしろものすごく混んでいて、チケットがかえず危うく上映時間に遅れそうだった。もっとも混んでいたのは、名探偵コナンくんとクレヨンしんちゃんだった。

バンクシーの映画を上映していたのは、皮肉なことにキャナルシティという都心のショッピングモールのシネコンだ。ここは20年前に地上げと再開発によってつくられた街である。

© Daisuky 1987 今はなき西部構内の探検部の壁

さて、この映画、イギリスのグラフィティ作家バンクシーが2013年にニューヨークで1ヶ月間にわたって繰り広げた騒動を、ネットなどにあげられている映像を編集して作られたドキュメンタリー作品である。

バンクシーの作品は、ただの奇をてらった落書きではない。実に知的で、洗練されたくすぐりを心得ている。そのうえ彼はネットという新しいメディアの使い方に長けている。バンクシーは人間のもっとも弱くてもっとも痛いところをわきまえている、巧妙で容赦ない確信犯なのである。

翻弄されるアーティスト・画商・警察官・市長。加熱する観客。犯罪も経済も、すべてを巻き込んで、ひとつの作品が完成する。正義。道徳。政治。資本主義。こうした人間の欲望が、いかににチンケなものであり、しかし、私たちがそこからどうしても逃れられないことをバンクシーは確信している。そして実際にその通りのことがおこる。

© Daisuky 1987 今はなき西部構内の探検部の壁

この映画作品のまなざしもいかしている。バンクシーの活動を紹介しながら、権力を持つものたちの独占がすすみ、どんどん硬直化していく世界の政治や経済の正体を、容赦なく暴く。登場する人物は、みんな正義を主張し、みんな悪に手を染める。実にみごとである。商業映画として完成されたこの映画自体もひとつの確信犯なのだ。

© Daisuky 1987 今はなき西部構内の探検部の壁

この映画を見た1%の人は怒るかもしれないが、99%の人は皮肉な笑いを浮かべるだろう・・・。そして映像の中の滑稽な人間の姿に自分を重ね、それを面白おかしく笑えるようになったとき、誰もがバンクシーになる。世界を変えるのは、怒りではなく笑いなのかもしれない。

映画の公式サイト
Dismaland