慰霊の日も近い 梅雨の初夏に想う
大陸で死んだ人も
南方で死んだ人も
空襲で死んだ人も
沖縄で死んだ人も
特攻で死んだ人も
原爆で死んだ人も
中国人も朝鮮人もアメリカ人も日本人も
あの戦争をしてよかったと思っている死者は
どのくらいいるだろうか
いつでも生き残った人とその子孫たち
死者を代弁するのは
いつでも生き残った人とその子孫たち
子どもを持つ前に死んだ人には
孫もそのまた孫もいない
死者にはなにも語れない
生まれるはずだった彼らの子孫も
同じ過ちを止めることすらできない
たくさんの彼らは
ただおしだまって私たちをみている
この票決は じつに不公平である
戦争でもっとも深く傷ついた当事者には 投票権がない
死んだ人にできることはないのだろうか?
オマエタチモ ハヤク コチラヘ オイデと
呪詛をかけることくらいだろうか
死んだ人や生まれられなかった人のための 慰霊の日
その呪いは解けるだろうか
そうやって
私たちもまた彼らのように立派に死ぬのだろうか
彼らの死を反省し 謝罪の気持ちを伝えれば
その呪いは解けるだろうか
そうやって
失われるかもしれない未来の命を救うのだろうか
ただおしだまって私たちをみている。
笑いもせず 呪いもせず