2014年6月16日月曜日

死者と未生への慰霊

沖縄から果実が送られてきた
慰霊の日も近い 梅雨の初夏に想う


大陸で死んだ人も
南方で死んだ人も
空襲で死んだ人も
沖縄で死んだ人も
特攻で死んだ人も
原爆で死んだ人も
中国人も朝鮮人もアメリカ人も日本人も
あの戦争をしてよかったと思っている死者は
どのくらいいるだろうか


戦争を始めたがるのは
いつでも生き残った人とその子孫たち
死者を代弁するのは
いつでも生き残った人とその子孫たち
子どもを持つ前に死んだ人には
孫もそのまた孫もいない


たとえどんなに悔しくても悲しくても
死者にはなにも語れない
生まれるはずだった彼らの子孫も
同じ過ちを止めることすらできない

たくさんの彼らは
ただおしだまって私たちをみている


生きている人だけで決めていいのだろうか?
この票決は じつに不公平である
戦争でもっとも深く傷ついた当事者には 投票権がない

死んだ人にできることはないのだろうか?
オマエタチモ ハヤク コチラヘ オイデと
呪詛をかけることくらいだろうか


死んだ人や生まれられなかった人のための 慰霊の日


彼らの死を美化し 感謝の気持ちを伝えれば
その呪いは解けるだろうか
そうやって
私たちもまた彼らのように立派に死ぬのだろうか

彼らの死を反省し 謝罪の気持ちを伝えれば
その呪いは解けるだろうか
そうやって
失われるかもしれない未来の命を救うのだろうか


たくさんの死者と未生の魂は
ただおしだまって私たちをみている。
笑いもせず 呪いもせず